無精卵とは母親が卵を産んでも受精卵ではないために、卵の中で胎児として生育しないものを言います。
これはカナヘビに限らず産卵をする動物では例外なく起こることであり、カナヘビの場合は無精卵であると有精卵に悪影響を起こす原因に成り兼ねないため、飼育を行っているのであれば直ぐに取り去らなければいけません。
カナヘビの卵は無精卵だけが持っている特徴というのがあるので、その見分け方を知って有精卵の孵化を行うときに役立てて下さい。
無精卵の外見的な違い
カナヘビの卵はとても柔らかいのですが、無精卵の卵だと更に柔らかくなっていて、見ただけで有精卵と見分けがつく場合もあります。
ただし、これは一律ではありませんし、触ってみれば分かりやすいのですが、有精卵の卵も柔らかいので、触ってみて判断するのはおすすめできません。
他に有精卵と無精卵を見ただけで判別できる方法というと、へこみのある卵を見つけたらそれは無精卵の可能性が高くなります。
ただし、へこみがあっても胎児の成長と共にへこみがなくなるケースもあり、あくまでも無精卵の可能性が高いという程度なので、へこみがあったからすぐに無精卵と決めつけるのは避けて下さい。
この卵のへこみについては一週間程度様子を見て、それでも何も変化がなければ無精卵と疑ってもいいでしょう。
カナヘビは通常でも無精卵を産卵しますが、若いカナヘビになると無精卵をよく産むため、飼育しているカナヘビの年齢が分かっているなら、生後一年から二年の個体は無精卵を産む傾向が高いので、そのようなカナヘビが産卵したら十分に注意して下さい。
無精卵の場合の時間経過における変化
有精卵であれば外形的に何か問題があったとしても、中にいる胎児が成長すればその問題となっている部分も解消されていきます。
しかし、無精卵ではそのような変化が起きないので、カナヘビの孵化が通常は一か月程度であることを考えると、一週間ほど経過を観察して何も変化が起きなければ無精卵だと判断してもいいでしょう。
ただし、この方法は確定的ではないため、無精卵だと断定する決定的な方法とは卵の表面にカビが生えた場合です。
有精卵は中に胎児がいて空気や水分を吸収するのでカビは発生しませんが、無精卵は一切の活動を行わないので、カナヘビのケージ内が高温多湿というカビが繁殖しやすい環境なので、卵にもカビが生えるという理屈です。
カビが生えてきて有精卵というのは有り得ないので、卵の表面にカビが生えているのを見つけたら無精卵なので取り去って下さい。
無精卵の卵を取り去る理由
無精卵の卵にはカビが繁殖してきて、そのまま放置していると他の有精卵で中に胎児のいる卵にまでカビの菌が付着して繁殖していきます。
カビは卵の表面に菌糸を延ばして増殖していくので、胎児が必要とする空気や水分が殻を透過して入って来なくなりますので、胎児にとっては死活問題の事態を引き起こします。
またほとんどのカビは毒素を放出しているので、胎児のような抵抗力の弱い段階でこの毒素を受けては、その生育に重大な支障を生じてしまうでしょう。
カナヘビの卵の飼育は温度と湿度が高い環境が要求されるので、カビが増殖することはあっても自然に消滅するのは、まず有り得ません。
たった一個の卵にカビが生えたばかりで、ケージ内にある全ての他の卵が全滅するという可能性がとても高いので、カビの生えている卵を見つけたら躊躇なく取り去る勇気が必要です。
まとめ
カナヘビの母親は産卵した後は何もしないため、無精卵の対処は飼い主さん自身が行うことになります。
うまく孵化して幼体が誕生したとしても、成体になるまでは注意すべき事項が多く、飼い主さん負担はなかなか軽減されませんが、生物を飼育する機会を得たのですから立派に育て上げていって下さい。